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「命の授業」 H22.9放送
 テレビ番組「アンビリバボー」でも取り上げられましたのでご存知の方も多いと思いますが、ご自身に実際に起こった体験を「命の授業」として、全国で講演活動を続けている腰塚勇人(こしづかはやと)さんという方をご紹介します。

 腰塚さんは大学卒業後、天職と思えた中学校の体育教師になり、学級担任やバスケット部顧問として充実した教員生活を送っておりましたが、2002年3月(37歳)、スキーで転倒して「首の骨」を折るという大事故に見舞われます。

 幸い手術により一命は取り止めますが、一週間たっても首から下は全く動かず、担当の医師からは「一生寝たきりか、車椅子の生活になるでしょう」と宣告されます。
 絶望の余り腰塚さんは舌を噛んで自殺を図りますが、余りの痛さに未遂に終わります。

 そんな死ぬことばかりを考えていた腰塚さんに生きる勇気を与えてくれたのは、周りの人々の温かい応援と励ましでした。

「何があってもずーっと一緒にいるから」と言ってくれる奥さん…
「代われるものなら代わってあげたい」と言うお母さん…
「腰塚さんの辛さは本当には分ってあげられないけど、私に出来ることは何でもしますから、我慢しないで言ってくださいね…」と声をかけてくれた看護師さん…
回復をひたすら信じ、心温まる激励を送り続けてくれた学校の生徒や同僚の先生たちでした。

 腰塚さんはこうした人々の深い愛情に包まれながら、「これからは、今のすべてを受け入れ、そのすべてに自分が責任を負い、すべてに感謝をしていこう」と心に誓います。

 その後、厳しい困難なリハビリに取り組んだ結果、ついに4ヵ月後、現場復帰を果たすまでに回復するのです。
 主治医の先生も「首の骨を折ってここまで回復した患者は腰塚さんが初めてです」と驚嘆するほどの回復振りでした。

 現場復帰に当たって、腰塚さんは次のような「五つの誓い」を立てます。

「口」は…、人を励ます言葉や感謝の言葉を言うために使おう
「耳」は…、人の言葉を最後まで聴いてあげるために使おう
「目」は…、人の良いところを見るために使おう
「手足」は…、人を助けるために使おう
「心」は…、人の痛みがわかるために使おう

 この「誓い」は自分を助けてくれた人たちがしてくれたことを、今度は自分がしようという思いから生まれたものです。

 念願の現場復帰を遂げた腰塚さんは、今回の体験を「命の授業」と名づけ、6分ほどの「ムービー(動画)」にしてインターネット上に公開したところ、たちまち多くの人々(30万人)の知るところとなり、さらには学校関係者などから講演の依頼が相次いで寄せられるようになるのです。

 腰塚さんの講演はどこも大きな反響を呼びました。
 命の尊さ、生きていることの素晴らしさ、仲間の大切さなどを訴える腰塚さんの講演は、特に子供さんたちにとって素晴らしい「命の授業」になりました。
 反響の大きさを身をもって知った腰塚さんは、この活動(「命の授業」の講演)を自分の使命にして生きていこうと決意するのです。
 そうして、2010年3月、22年間の教員生活を退き、現在は、全国の小学校、中学校、高校を始め一般企業の方々に、講演活動を続けております。

 腰塚さんはご今回の事故を振り返り、次のように語っています。(一部抜粋)

……私は首の骨を折るという大きな失敗をしました。しかし失敗したことによって、私の命が周りの人々、あらゆる命によって生かされ、支えられていることを知りました。
 失敗は決して悪いことではありません。本当に悪いことは、他人のセイや環境のセイなどの言い訳をして何もしなくなることです。

 この人生はすべて自分が源で作られています。
 だからそのすべてに責任を負い、今のすべてを受け入れ、すべてに感謝していくことが大事なことです。
 どんな出来事も、すべて必要があって起こっているのです。
 何事も自分が成長し幸せになるための「学び」になるのです。

 私は今でも下半身から下は余り感覚がありません。しかし、そのことがいつも私に「手足が当たり前に動くことの幸せ」を教え続けてくれています。
 だから麻痺して余り動かない右半身と下半身は私にとって「宝物」です。
 今は、そんな大切なことを気づかせてくれた事故に感謝しています。
「いつも笑顔でいよう」
「いつも感謝しよう」
「周りの人々の幸せを願おう」
これが私の原点です……

 こう語る腰塚さんの生き方(人生観)は、まさに縁起の道理に立った仏教の人生観(縁起観・因果観)そのものだと言ってもいいでしょう。
 首の骨を折るというまことに厳しい試練に出遭いながら、その試練をしっかりと受け止め、ついにはその試練さえも恵みであったと感謝していく。

 そんな腰塚さんのたくましい智慧ある生き方に深い感動を覚えずにはおれません。


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